副作用モニター情報〈353〉 リリカRの副作用報告第1報 ―高齢者に多く発現―
帯状疱疹後神経痛の適応で2010年6月に発売されたプレガバリン製剤「リリカカプセル」の副作用報告が、さっそく10件よせられました。そのう ち、実に7件が80歳超の患者さんでした。ふらつき4例、めまい2例、転倒1例、頭部不快感1例、と中枢性の症状が多くを占め、浮腫の2例はいずれも80 歳以上、心不全治療中でフロセミドを服用していました。そのほかの症状は、悪心、嘔吐、倦怠感、CPK上昇が各1例ずつでした(いずれも重複あり)。1回 の服用量は150mgから開始した1例を除き75mgでした。
プレガバリンのルーツは抗てんかん薬のバルプロ酸で、非常に類似した構造を持つガバペンチンの4倍の力価を持つとされます。もともと抗てんかん薬ですか ら、中枢性の抑制系作用が発現し、特に高齢者ではふらつきなどの症状が顕著に現れることを容易に推察できます。今回の報告を考察すると、腎機能を考慮する 必要性はもちろん、高齢者には1回25mgから開始する必要があるのではないか、うっ血性心不全の患者には浮腫が起こりうるので極力避ける、ということが 導き出されます。現在、適応症は末梢性神経障害性疼痛まで拡大され、今後の使用量は増加するでしょう。使用そのものをガイドラインに沿って、見直す必要が ありそうです。
以下に「Finnerupらの(Pain 118:289-305,2005)報告」やOxford Bandolierなどから得られた指標を紹介し ますので、参考にして下さい。ちなみに、末梢神経性疼痛に対する第一選択は三環系抗うつ薬です。プレガバリンはあくまで第二選択で、NNTとNNHが接近 しているという特徴を持っています。
参考
NNT(Numbers Needed to Treat)は、新しい治療を開始してから効果が出現するまでに治療した症例数。1人目で治療効果がでればNNTは1となる。つまり「効果あり」の目安。
NNH(Numbers Needed to Harm)は、新しい治療を開始してから副作用が出現するまでに治療した症例数。1人目で副作用がでればNNHは1となる。つまり「使いにくさ」の目安。
(民医連新聞 第1502号 2011年6月20日)
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