副作用モニター情報〈275〉 ファモチジン注射液による血液障害
2004年度以降、ファモチジン注射液による副作用症例が、1件報告されました。
〔症例〕80代女性、体重29kg。消化性潰瘍 疑いで、経口投与困難のため、ファモチジン注射液20mg(1日1回)の投与を開始。その時は白血球6400。開始2カ月で白血球が1300まで減少。ファモチジン注射液による副作用を疑い中止。徐じょに白血球は増加し、中止4日後には6800まで回復した。
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代謝を受けにくいファモチジンは、ほとんどが未変化体のまま腎から排泄されます。腎機能が低下している高齢者などは、投与量を減らすか投与間隔をあけるなど、慎重な調整が必要です。
腎機能の指標として用いられるクレアチニンクリアランス値は、血清クレアチニン値をもとに計算します。高齢者は筋肉量が少なくクレアチニンの産生量そのものが低下しているため、実際の腎機能はクレアチニンクリアランス値から推定するより低い場合があります。
副作用の機序は明らかでありませんが、造血幹細胞にあるH2受容体が阻害されるためと考えられています。他のH2ブロッカー(シメチジン・ラニチジンなど)でも同様の副作用が報告されています。
血液障害の発現時期は投与数日から数カ月までで、不定です。維持療法を目的としたファモチジンの長期投与例も多くあり、感染症が併発した場合は、すぐに血液検査を実施し、投与を中止して経過をみることが重要です。
(民医連新聞 第1412号 2007年9月17日)
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