副作用モニター情報〈268〉 ユーエフティー(UFT・抗がん薬)による味覚障害
〔症例〕50代男性。ユーエフティーを3cap/日で服用開始。23日目に味が分かりにくく、口の中がモヤッとする、と訴える。2cap/日に減量したが異常は続き、投与64日目に中止。中止後、9カ月しても味覚が戻らない。
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ユーエフティーの味覚障害は、亜鉛とのキレート形成により、生体の亜鉛が不足し、味蕾(みらい)細胞の新生交代が遅延することにより、味覚受容体の感度 が低下すると考えられています。味覚回復のためには薬剤の中止が必要です。また、血清亜鉛値が低い症例では、亜鉛の内服治療が試みられますが、必ず回復するとはいえません。味覚障害が起きた症例の約2割で、また、重篤な味覚障害の半数以上では、中止後も回復しません。
高齢者では、味蕾の数が減少し、「甘、塩、酸、苦味」の認知閾値(いきち)も低下します。特に50代から60代では本剤の副作用が顕著になることから、 味蕾の老化が味覚障害に影響していると考えられます。日常的に亜鉛を含む牡蛎(かき)や小魚、海草、ココア、緑茶などを摂取するように心がけることも、予 防の上で大切です。
味覚異常を生じた例では、「みその味がおかしい」「食材の味が分からない」「味がまったく分からない」など、その表現は様ざまです。
患者様の状態をよく聞きとり、味覚異常が疑われた場合、早期に発見し、副作用により患者様のQOLを低下させることのないよう、十分な配慮をしていきましょう。
(民医連新聞 第1404号 2007年5月21日)
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