副作用モニター情報〈267〉 フルニトラゼパム製剤静注の適応外使用による副作用
フルニトラゼパム製剤静注を、不安が強く、不眠の症例に適応外で使用して、幻覚、興奮の副作用を呈した症例が報告されました。
〔症例〕50代男性。不安が強く、不眠のためロヒプノール注2mg1Aを静注。その後、幻覚が現れ、服を脱いだり、吸盤を外したりと興奮状態になり衝動行為が現れた。ロヒプノール注を中止すると改善した。セルシン注に変更後は、上記の副作用症状はみられない。
フルニトラゼパムの注射剤の適応は、(1)全身麻酔の導入、(2)局所麻酔時の鎮静だけです。内服と異なり不眠症の適応はありません。強力な催眠・鎮静 作用があり、静注直後に最高血中濃度に到達し、重大な副作用として錯乱、無呼吸、呼吸抑制などがあります。また、覚醒困難、興奮、多弁などの副作用もあ り、適応症を遵守し、十分な管理下で使用すべき薬剤です。
特に重大な副作用が生じるのは投与後30分以内が多く、2時間以内では、副作用発現の危険性があります。
不安が強く、不眠がある患者に対して使用できる注射薬にジアゼパム製剤がありますが、これも「刺激興奮・錯乱」などの副作用の危険性はさけられません。 睡眠導入に対しては、注射製剤の使用を避け、できる限り内服にすべきです。不眠コントロールや「不安」への治療などで原則的に対応し、今回のような適応外 使用だけは絶対に避けてください。
(民医連新聞 第1403号 2007年5月7日)
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