副作用モニター情報〈335〉 抗がん剤エルプラット注(R)(オキサリプラチン:L-OHP)の重篤な副作用について
エルプラット注(R)は、大腸がんの標準的な薬物療法上、重要な薬剤です。
当副作用モニターに、アナフィラキシー、白血球減少、好中球減少、間質性肺炎などグレード2以上の副作用をはじめ、一年間で11件の報告が寄せられています。
FOLFOX療法(フォルフォックス=FOL〔フォリン酸〕、F〔フルオロウラシル〕、OX〔オキサリプラチン〕の3剤併用療法)で、エルプラット注 (R)を使用する場合、投与可能条件は、好中球数1,500/立方メートル以上、血小板75,000/立方メートル以上です。添付文書の減量基準にあては まる時は、通常の1日量85mg/平方メートル(体表面積当たり)を65mg/平方メートルに減量するなどの対応が必要になります。
また、エルプラット注(R)による過敏症は発現率が13%と高く、主な症状は、顔面紅潮、掻痒感、震え、低血圧、気管支けいれん、悪心・嘔吐です。本剤 は1日1回投与後に13日間休薬し、それを「1サイクル」としますが、過敏症状は4~11サイクルで出現しやすく(中央値7)、投与後すぐに症状が現れま す。また、治療サイクル数が多い患者は、重篤な症状が発現する恐れがあります。
末梢神経障害は投与後すぐ、または少し時間が経ってから、手や足、口の周りのしびれや痛み、喉の締めつけ感の急性症状として現れます。
さらに、手足の持続的な知覚異常、知覚鈍磨などの機能障害が、遅発性、蓄積性で用量依存性に発現します(オキサリプラチン総投与量680mg/平方メー トルではグレード2が20%以上出現したと報告されている)。
これらの副作用が、減量によっても回避できない場合には、末梢神経障害が少ないという点で、FOLFIRI療法(オキサリプラチンの代わりにイリノテカ ンを使用する3剤併用療法)に切り替えるなど、投与計画書の目的を考慮した対応が必要になります。
(民医連新聞 第1480号 2010年7月19日)
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