副作用モニター情報〈330〉 ベシケア(R) (頻尿・切迫性尿失禁治療薬・コハク酸ソリフェナシン) の副作用
ベシケア(R)は膀胱に選択性の高い抗コリン作用を持つ過活動膀胱(Overactive Bladder;OAB)治療剤として2006年4月に承認 されました。OABは新しく定義された概念です。以前から切迫性尿失禁や頻尿の症状に対しては、抗コリン作用のあるオキシブチニンやプロピベリンなどが使 用されていました。しかし、副交感神経遮断や中枢神経系抑制による副作用(口渇、便秘、せん妄、ふらつきなど)が問題になっていました。
近年、ベシケア(R)を始め数種の薬剤が、膀胱選択性の高い抗コリン薬として発売され売り上げを伸ばしています。しかし、ベシケア(R)の承認時のデー タでは、1267例中、口内乾燥358例(28.3%)、便秘182例(14.4%)、霧視42例(3.3%)と、副交感神経遮断によると思われる副作用 が高率で報告されています(添付文書)。
発売後3年が経過し、本モニターに14例が報告されましたので、紹介します。
内訳は、口内乾燥6例、嘔気2例、便秘2例、複視1例、眼の充血1例、眩暈1例、浮腫・高BNP上昇(脳性Na利尿ペプチド)・高血圧・高K血症併発1 例でした。発現時期は直後~3.5カ月後と幅がありました。
【症例1】浮腫・BNP上昇・高血圧・高K血症を生じた例
頻尿のためベシケア(R)2.5mg1日1回を処方されたが、誤って2.5mgを1日3回服用した。5日後、顔のむくみで受診。ベシケア(R)を中止 し、フロセミドを処方。中止1日後はBNP165、4日後は143の高値だったが、10日後には体重が2kg減少し、むくみは元に戻った。エコー検査では 心機能は良好で、心不全の所見はなくなったが若干の浮腫が残り、フロセミドは継続中。
【症例2】頻 尿のためベシケア(R)5mg1日1回を服用開始。1カ月ほど経ったころ何の前ぶれもなく突然嘔吐した。嘔吐の回数が3日に1回から2日に1回に、そして 毎日と日が経つにつれ増していった。嘔吐は決まってベシケア(R)を服用後60~90分で起きた。ベシケア(R)の副作用を疑って中止したところ、吐気は すぐにおさまった。
(民医連新聞 第1475号 2010年5月3日)
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