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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈260〉 睡眠導入剤ゾルピデムの副作用の傾向と分析

 「筋弛緩作用が少なく、使いやすい」というふれ込みのゾルピデム(マイスリーR)は、本当によい薬なのでしょうか? 米国では、自動車事故を起こしたの に運転していた自覚がまったくないなど、夢遊病のような状態の運転手の血液からゾルピデムがよく検出されます。そのような運転手のことを「アンビエンドライバー」と報道されています。法医学的には、事故とゾルピデムの服用が関係あると考えられています(日本自動車連盟)。
 2003年から2006年10月までに寄せられた副作用報告を分析しました。
 38例のうち、健忘症状などの記憶障害が12例、幻覚・せん妄などが5例、興奮や不穏が3例、頭痛・頭重感が5例、悪夢が2例、口渇が2例などあります。

〔症例1〕帰宅してマイスリー5㎎を1錠服用し、入眠する。夜中に食事をつくって食べ、再入眠したが、翌日、夜中の行動をまったく覚えていなかった。
〔症例2〕マイスリー5㎎1錠とブロチゾラム0.25㎎を1錠服用後、すぐに眠らず、お菓子などを食べていた。家族から食べすぎを注意されたが、翌日それらを思い出せない。
〔症例3〕エチゾラムからマイスリー5㎎1錠に変更。 その夜、服用1時間後に写真が動いているように見え、誰もいない部屋から話し声が聞こえた。翌日以降、同様の幻覚・幻聴が出現、5日分を服用した時点で服用中止。エチゾラムに戻すと幻覚や幻聴は消失。この例は、統合失調症ではない。

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 治験時は、一過性逆行性健忘の副作用が1%(11/1102例)ありました。2000年12月~03年11月の3年間の使用後調査では、2/3443例 で0.06%でした。添付文書では、統合失調症あるいは躁うつ病に伴う不眠症には本剤の有効性は期待できない、となっています。
 ゾルピデムはトリアゾラム(商品名・ハルシオン)同様、社会問題になる可能性があり、今後も注意深く観察していく必要があります。

(民医連新聞 第1396号 2007年1月22日)