副作用モニター情報〈325〉 あらためて注意すべきパロキセチン(パキシル)の副作用(自殺念虜)
【症例】パキシル(R)中止後に自殺念虜が増強
20代男性。うつ病にてパキシル(R)服用(服用期間不明)。中止後6日目に、ウイスキー、カクテル、タバコを水に溶かしたものを服用し自殺を図る。救 急搬送にて胃洗浄、入院経過観察。
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パキシル(R)の副作用はこれまでも多く報 告されています。主なものは精神神経系、消化器系の副作用です。また自殺念虜、自殺企図のリスクが増加するという報告もあり、あらためて注意を喚起しま す。自殺念虜、自殺企図のリスクは24歳以下の若年者が高く、特に注意が必要です。抗うつ薬投与初期や増減時にみられる精神行動症状群である「アクチベー ション」症状をきたした症例においては、因果関係は明らかではありませんが、基礎疾患の悪化、自殺念虜、自殺企図、他害行為が報告されています。
このような症状は投与開始初期や増量後に見られることが多く、また急激な減量や中止により、中止後症状が現れる場合もあります。一般的に投与中止後 7~10日後に症状が現れることが多いようです。投与初期および増量時は、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察することが大事です。「アクチベーショ ン」が生じている場合は、減量や中止など適切な処置を行うとともに、他者への攻撃性、自殺のリスクにも注意を払う必要があります。この場合の投与中止・減 量も、少しずつ行うなど慎重にする必要があります。
(民医連新聞 第1469号 2010年2月1日)
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