副作用モニター情報〈258〉 ウブレチド錠(排尿障害治療剤)によるコリン作動性クリーゼの前駆症状
〔症例1〕70代女性。泌尿器科でウブレチド錠5mg2錠とエブランチル1錠が 処方される。翌朝、服用後に意識喪失し入院。エブランチルによる血圧低下の疑いでエブランチル中止、ウブレチドは継続し退院する。服用5日目の朝食後、腹 痛がありトイレに行った際に再度意識喪失、救急搬入される。この時血圧が200前後。ウブレチドの副作用が疑われ、ウブレチド中止。その後は症状が起きていない。
〔症例2〕60代女性。残尿感を訴え、ウブレチド錠5mg2錠(1日2回、朝夕食後)を処方される。服用2日目、水様便が発現し、排便回数7回。自己判断で服用中止。3日後に症状消失。
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ウブレチドのコリン作動性クリーゼ前駆症状が2件報告されました。いずれも5mg2錠(10mg)で投与開始されていました。
ウブレチド錠は、強力なコリンエステラーゼ阻害剤です。アセチルコリン過剰状態の初期症状は下痢、腹痛、縮瞳、呼吸困難、発汗、唾液分泌過多、徐脈などです。発現後は、ただちに投与を中止すべきです。重いと人工呼吸を要する状態にもなります。
2004年6月、メーカーの適正使用情報では、1日5mg1錠から開始、投与14日以内は厳重に観察、高齢者には慎重投与が強調され、添付文書にも追記されました。
また、排尿障害の有効率は、5mgで76.1%、10mgで73.4%、15mgで74.4%とほとんど変わりません。血中濃度が定常状態になるのは約14日間です。
厚生労働省の安全性情報や、民医連副作用情報で注意喚起しているように適正使用し、初回から2錠(10mg)や3錠(15mg)が14日間以上の場合は、必ず疑義照会してください。5mg1錠で14日投与し、効果がない場合は、1週間程度様子をみて5mg1錠を追加というようにし、急な増量はさけてく ださい。
(民医連新聞 第1393号 2006年12月4日)
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