副作用モニター情報〈252〉 テグレトールによる聴覚異常
テグレトール服用による聴覚異常が疑われる症例が2例ありました。
〔症例1〕20代女性。三叉神経痛にてテグレトール 150㎎/日を処方される。服用開始4日目にピアノの音が半音下がって聞こえることに気づく。一時的に服用をやめると、1/2下がって聞こえていた音が 1/4音に軽減した。その後、神経痛が増強したため、テグレトール300㎎/日に増量。半音下がって聞こえる症状は持続していたが、服用開始1カ月後には 症状が気にならなくなった。
〔症例2〕20代女性。テグレトール100㎎/日が処方される。服用開始2日後、音が低く聞こえるようになり服用中止。中止後に症状は改善される。
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テグレトール服用で、ピアノのキーや音階を間違ったり、知覚音の半音低下を認めた症例が文献でも報告されています。
症状が発現した後、減量、中止、同量継続いずれの症例でも聴覚異常は消失しています(中止者は翌日より、同量継続者は数週間後に消失)。
テグレトールによる聴覚異常は、血中濃度との相関がなく、一過性の症状、服用初期にみられる不耐症と考えられています。
このような聴覚障害は、症例1のような音楽に接する機会の多い人は気づく症状ですが、そのような機会が少ない人には気づきにくい副作用です。
本剤服用初期には、患者様に「耳の聞こえで気になることがないか」など、具体的に質問して確認しましょう。
(民医連新聞 第1387号 2006年9月4日)
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