副作用モニター情報〈244〉 アクトス錠による浮腫・心不全
インスリン抵抗性改善薬アクトス錠(塩酸ピオグリタゾン錠)は2000年10月に緊急安全性情報が出されており、心不全の患者および心不全の既往歴のある 患者には禁忌となっています。また、重大な副作用として心不全の増悪および発症があります。
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当委員会に薬局から寄せられたアクトス錠によると思われる副作用は、1年間に合計15件です。浮腫が12件、他に動悸、顔のほてり、消化器症状が各1件でした。
本剤による浮腫は以前より報告されていますが、処方の増加に伴い、副作用発現症例も増加としていると思われます。あらためて注意が必要です。浮腫は高齢の 女性に多く発現しており、投与中止、減量、休薬、ループ利尿剤の投与で全例軽快・消失しています。また増量時に浮腫が発現した例が多く、用量依存的といえ ます。添付文書によると浮腫は7.6%にみられ、男性では3.9%、女性では11.2%と、女性に多く発現しています。
浮腫の発現するしくみは、本剤がインスリン作用を増強し、腎尿細管でNaの再吸収を亢進させ、循環血漿量を増加させる、と考えられています。この循環血漿量の増加は、心臓にも影響をおよぼす可能性があります。
投与中は、顔や手足がむくむ、顔や手足が腫れる、急に体重が増える、心臓がドキドキする、息切れがする、などの症状に注意し、定期的なチェックが必要です。特に心疾患がある患者、高齢者、女性、糖尿病の合併症がある患者は、1日1回15mgから投与を開始するなど、経過を十分に観察しながら慎重に投与す る必要があります。
(民医連新聞 第1379号 2006年5月1日)
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