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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈299〉 アリセプトによる精神症状の変化に注意

2007年上半期から08年上半期までに、アリセプトに関する報告がのべ38件寄せられています。
 内訳は、消化器系17件、精神神経系15件、循環器系4件、ほか2件でした。消化器系症状の嘔気・嘔吐などは、投与開始直後や3㎎から5㎎に増量した時 に発生していたのが特徴的です。また、循環器系症状として不整脈や徐脈の報告があり、これはアリセプトのアセチルコリン作用によって、迷走神経が刺激さ れ、徐脈・不整脈を起こしたものと推測されます。
 精神神経系では、易怒(いど)性(怒りっぽくなる)・攻撃性・暴言・興奮などの症状が6件報告されています。本剤は、ATD(アルツハイマー型認知症) の中核症状を改善する薬剤ですが、周辺症状に対して「興奮系薬物」として働く場合があります。つまり、神経の活動を亢進し、周囲の刺激に対する感受性を高 めます。発現までの期間はさまざまですが、投与開始後2週間以内に異常行動が起きた症例では、強い易怒性、暴力、自傷、興奮がみられたとの文献報告があ り、短期間に発現したものほど症状が強く現れる傾向があるとされています。また、服用前から被害妄想や暴力、異常行動、易刺激性がみられていた症例では、 症状が再燃・増悪したとの文献報告もあります。
 本剤は「ATDの症状の進行抑制」を適応とする薬剤です。もともと精神症状のある症例に使用した場合、副作用の発現なのか、症状悪化なのか、の見分けが難しく、加えて患者から自身の心情の変化を聞き出すことが困難です。
 本剤服用中は、家族や介護者に、患者の日常生活での変化を注意深く観察してもらうことが必要です。そして、精神症状の出現や悪化が認められた場合には、本剤の影響を疑い、いったん中止して観察することをすすめます(2月4日付「民医連新聞」も参照)。

(民医連新聞 第1440号 2008年11月17日)