副作用モニター情報〈296〉 ベシケア(過活動膀胱治療剤)による口渇、尿閉に注意
ベシケア錠(R)(コハク酸ソリフェナジン)は、膀胱の過活動による尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁を適用症とする薬剤です。本剤の抗コリン作用は、膀胱平滑筋に対する選択性が高く、既存の同効薬と比較して、口渇や尿閉などの副作用が少ないと期待されました。
しかしこれまでに、当モニターに10例の報告が寄せられており、症状は「口渇」6件、「尿閉」2件、ほか「口内過敏」「ふらつき」「眼充血」となっています。ほかの同効薬に変更し、口渇が改善された例もあり、選択性が高いといわれる本剤は、必ずしも副作用が少ないとは言い切れません。
ある民医連の病院での本剤の使用後調査では、47例中24件(51.1%)で口渇が出現し、国内臨床試験の28.3%を上回っていました。この症状を訴えた人の半数は服用を自己中止しており、重篤とはいえないものの、不快な副作用であることがうかがえます。
また、口渇発現時の用量は5㎎が7件、10㎎が17件で、高用量になるほど、頻度が高く、用量依存性を示唆します。
口渇の対処法としては氷片をなめる、シュガーレスガムの使用などがあります。また、本剤の最高血中濃度到達時間は5.5時間とされているので、夜間頻尿 だけを訴えるケースでは、1日1回、夕食後の服用にすれば、口渇が軽減する可能性もあります。このように服用時間を工夫することによって、副作用に対処できるケースもあると考えられます。
頻尿や尿失禁は、高齢者にとって日常生活を阻む不快な症状です。これらを少しでも改善し、副作用の発現を最小限にすることが、QOLの向上に役立ちます。そのためには、薬剤の選択、投与量の設定を考える必要があります。
(民医連新聞 第1437号 2008年10月6日)
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