副作用モニター情報〈292〉 ワーファリンとベザフィブラート(抗高脂血症剤)との相互作用に注意を
ワーファリンは、代謝に関わる酵素CYP2C9の影響で、相互作用に留意すべき薬剤が多岐にわたります。今回本モニターにワーファリンの作用増強として注意を喚起すべき事例が報告されました。
【症例1】70代女性。ワーファリン2㎎/日服用 中。ベザテートSR(R)を開始後6カ月ころから左半身に時どき脱力があり、7カ月後に立ち上がりと歩行ができなくなり緊急入院した。両側腹部および前頚 骨部に紫斑が見られ、胃内視鏡で出血を確認。ヘモグロビン(Hb)4.6、プロトロンビン時間(INR)10であった。ケイツーNを投与、輸血などを施行 し、入院7日目にINR1.2となり、その後、紫斑も軽快した。
【症例2】70代男性。他院にてワーファリン3㎎の ほか、バイアスピリン、ベザテートSR(R)、ラソプラン服用中。下血・下痢・倦怠感にて受診、精査入院となった。腹部CTにて大腸出血を確認、 Hb6.9、INR6.6であった。ケイツーN投与と輸血などが行われ、翌日にはINR1.5に、Hbは7日目に8.6まで回復。ワーファリンは1㎎減量 され、8日目に退院となった。
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ベザテートSR(R)のようなフィブラート系薬剤(高脂血症治療薬)は、併用でワーファリンの作用が増強するため、慎重投与とされています。
ワーファリンは、多くの薬物と相互作用があり、併用薬によっては、作用が増強し出血性合併症が発現したり、逆に作用が減弱し血栓塞栓症予防効果が失われるなど、危険な事態を引き起こすことが考えられます。
副作用を未然に防止するために、INRを定期的に測定することが重要です。また、ワーファリン服用者にお薬手帳の携帯を促し、日ごろから患者教育や医療機関の連携に役立てることが必要です。
(民医連新聞 第1433号 2008年8月4日)
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