副作用モニター情報〈290〉 ビスフォスフォネート系薬剤(骨粗鬆症治療薬)長期投与の副作用(顎骨壊死など)にあらためて注意を
ビスフォスフォネート系薬剤の内服による顎骨壊死の副作用が報告されました。
〔症例〕80代女性。服用から症状発現までの期間は3年8カ月、合併症は高脂血症。
2003年2月より、ダイドロネル錠(R)200mgを1錠(1回/日)、2週間の処方を3カ月ごとに継続服用。06年10月に歯科受診し、顎骨壊死疑 いで口腔外科での検査をすすめられる。11月に口腔外科受診。右下6部歯肉歯槽粘膜に腫脹があり、その頭頂部に「ろう孔」があり排膿がみられ、X線写真で 同部の顎骨壊死と考えられる像がみられた。義歯は入れておらず外傷もないため、原因は明らかでない。ダイドロネルの休薬が可能か処方医に照会があり、整形 外科で同薬の処方が中止となる。その後、3カ月ごとに口腔外科で定期検査しているが未回復。
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ビスフォスフォネート系薬剤については、過去にも消化器症状や顎骨壊死に関する情報を発信してきました。
顎骨壊死の副作用については、今年1月に日本口腔外科学会の監修で『ビスフォスフォネート系薬剤と顎骨壊死~理解を深めていただくために~』のパンフ レットが作成され、各製造販売企業から現場に再度、注意喚起が行われています。
本症例は、極めてまれといわれる内服薬で起きていること。また、侵襲的歯科措置などのリスク因子もない症例であること、に注意が必要です。
あらためて、本剤の使用中は口腔内の異常(歯のゆるみ、浮いた感じ、顎のしびれ・痛み)をモニターすること、症状が現れた場合は、ただちに歯科または口腔外科の受診をすすめることが重要です。
また顎骨壊死のほか、本剤を使用して数カ月から数年後に、投与の一時中断や中止を必要とする重度の筋骨格痛が出現する可能性があるとの警告が、1月に米国FDAより出されています。
日本でも広く臨床に使用されるようになって数年が経過し、長期に服用している患者数も増えています。長期投与に関連する副作用の発現に注意が必要です。
(民医連新聞 第1430号 2008年6月16日)
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