副作用モニター情報〈239〉 注射用抗生剤でのアナフィラキシーショック
(症例)10代男児。急性虫垂炎でスルペラゾン静注用1gを5%ブドウ糖液20mlに溶かし、点滴静注を開始した。
数分後、付き添いの保護者から、全身のかゆみ、息苦しさが出現したと連絡があった。口唇チアノーゼ、四肢蒼白があり、酸素飽和度80%台で、血圧 98/40mmHgを認めた。アナフィラキシーショックと判断し、20分後にボスミン0.1ml皮下注、リンデロン4mg静注、酸素マスク(2L/分)を 開始した。25分後、酸素飽和度は90%になった。
30分後、全身の膨隆疹が出たため、アタラックスP1Aを静注。35分後、酸素飽和度は97%、40分後、血圧108/50mmHgとなり、45分後、悪 寒はあるも、四肢冷感、チアノーゼは消失した。60分後、膨隆疹は軽くなり、かゆみは消失。75分後、血圧は120/60mmHg、酸素飽和度は98%、 130分後、膨隆疹は消失、140分後に酸素マスクを中止した。
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本例は、スルペラゾン点滴静注を開始して、5~10分後にアナフィラキシーショックが出現。すぐに対処し、30~60分後に症状は消失し、血圧も回復しました。投与前に抗生剤使用歴等の聴取はしていませんでした。
本例を経験してから、抗生剤の初回投与前のチェックを厳しくしました。抗生剤によるアレルギー歴の有無を記入する欄を処方せんに設け、チェックもれがないようにしました。また、投与直後から5分おきと投与終了後に、観察することを徹底しました。
注射用抗生剤の投与に際しては、問診によるアレルギー歴の有無の確認と、投与時の観察が重要です。「安全性情報No.18 厚生労働省医薬品・医療用具安 全性情報206号『注射用抗生物質製剤等によるショック等に対する安全対策』を受けて」に沿って再度点検しましょう。
(民医連新聞 第1373号 2006年2月6日)
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