副作用モニター情報〈237〉 健康食品「雪茶」による肝機能障害
健康食品によって、グレード3の重篤な肝機能障害が起きた症例を報告します。
(症例)58歳女性。痩身目的のためにデパートで健康 食品「雪茶」を購入し、飲用。1カ月半後、下痢症状が出現。下痢は2週間で落ち着いたが、全身倦怠感、腹部膨満感、悪心・嘔吐が出現。体が黒っぽくなっていることにも気がつく。近医を受診したが良くならず、当院を受診したのは、症状出現から約1カ月経過した後。検査値はGOT:754、GPT:1690、 T―Bil:7.98と高く、入院となる。
肝機能障害の原因を精査し、ウィルス性肝炎、閉塞性肝炎、自己免疫性肝炎、悪性腫瘍は否定された。患者家族が、厚生労働省のホームページに「雪茶による肝機能障害」が掲載されているのを見つけ、報告。これによる肝機能障害を疑い、特に治療はせず安静のみで療養となる。徐々に肝機能は軽快、3週間後には GOT:106、GPT:282、T―Bil:1.97となり退院。
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厚生労働省は2003年12月に「雪茶」による健康被害を公表しました。が、その後も販売されています。薬剤科では入院時に副作用歴、健康食品の摂取の有無など確認をとっていましたが、「雪茶」の情報を聞きだせませんでした。患者家族がインターネットで情報を見つけていなかったら、原因の特定はできないままでした。患者からよく聞き取ることの大切さと、健康食品に関する情報入手の難しさを感じました。
(民医連新聞 第1370号 2005年12月19日)
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