副作用モニター情報〈236〉 抗不整脈用薬による低血糖
(症例1)男性で年齢は不明。シベンゾリンを投与し、10日目に低血糖症状が出現。1日1~2回の低血糖が続き、投与21日目に中止。その後、症状は改善した。
(症例2)慢性腎不全の70歳台、男性。ジソピラミドを3年間服用していた。肺炎で入院し、抗生剤を投与。入院2日目の血糖値が20mg/dlであり、ブドウ糖を投与。翌日、ジソピラミドを中止した。中止翌 日の血糖値(朝)50mg/dl台、(昼)120mg/dlとなり、その後は低血糖症状なし。
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低血糖の発現機序は、膵β細胞のATP感受性K+ チャンネルを抑制し、インスリン分泌を促進するためと考えられています。
シベンゾリンによる低血糖は、血中濃度上昇によって生じるものとされます。特に血中濃度のピークが800ng/ml以上で、低血糖や逆に催不整脈が起こり やすくなります。特に腎障害のある患者や高齢者では注意が必要とされ、これらのリスクがある患者へは、定期的な血中濃度測定が求められます。一方、ジソピ ラミドでは常用量内の使用でも低血糖症状が起こり、その要因として、「高齢、糖尿病、肝障害、血液透析を含む腎障害、栄養状態不良」があげられています。
低血糖症状は、時に意識消失なども伴う重篤な副作用です。長期に服用していても体調変化によって、急激に生じるおそれもあり、常にその危険性を念頭におく必要があります。
(民医連新聞 第1369号 2005年12月5日)
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