副作用モニター情報〈233〉 塩酸ラロキシフェン(骨粗鬆症治療剤)による肺塞栓
(症例)60代女性。左膝関節痛のため、塩酸ラロキシフェン製剤1日1回の服用を開始した。4日目から両背 部痛と呼吸困難が徐々に増強。11日目に服用を止め、その1週間後に近医で胸部レントゲン異常陰影を指摘された。入院精査で胸部レントゲンの多発像、 FDP・Dダイマーの上昇から肺塞栓症が疑われた。ヘパリン持続点滴後、ワーファリン内服に切り換え、呼吸困難・胸痛も改善し、退院となった。
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本症例は、服用後4日という短期間での出現であり、因果関係は明らかではありません。が、血栓形成が確認され、同製剤の内服が肺塞栓症に何らかの影響を及ぼしていたことが疑われました。
同製剤による静脈血栓塞栓症の作用機序は不明ですが、現在までに市販直後調査で8件、その後も29件の報告がメーカーに寄せられています。
副作用発症を最小限にするため、「静脈血栓症患者・既往歴を有する方」「入院や安静臥床の継続などで長時間身体を動かせない方」「抗リン脂質抗体症候群 の方」への投与は避けるよう注意が必要です。また静脈血栓症の副作用を早期に発見するため、同製剤を服用している患者様には、下肢の疼痛や浮腫、突然の呼 吸困難、息切れ、胸痛、急性視力障害が現れたら、すぐに医療機関を受診するよう指導して下さい。
(民医連新聞 第1366号 2005年10月17日)
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