副作用モニター情報〈219〉 バルプロ酸Naによる高アンモニア血症
バルプロ酸Naが高アンモニア血症を引き起こすことは知られています。ある施設群の調査では、同剤の投与患者43例中27例に高アンモニア血症を確認しました。
[53歳男性]600mg/日で服薬し、服薬開始後4カ月ごろに血漿NH3が172μg/dl。バルプロ酸Naの投与を続けつつ、ラクツロース30ml投与。1カ月後測定すると142μg/dlに下がった。
[34歳女性]バルプロ酸Na300mg~1000mgで用量調整。3カ月後、肝機能は正常値だが血漿NH3が140μg/dl。ラクツロース投与でも低下せず、バルプロ酸Na中止で低下。
メーカーは「バルプロ酸Naによる尿素産生過程の酵素阻害」と、さらに肝代謝に影響する抗てんかん剤との併用で増強、としています。
報告院所では、バルプロ酸Na投与には、以下の2点で注意を呼びかけました。第1に、肝機能とNH3の測定は、投与開始から6カ月間はほぼ毎月、その後も年に3~4回程度行い、異常値の早期発見が大切なこと。第2に、血漿NH3が240μg/dlを超えれば意識障害等が出るとの指摘もある。血漿NH3が高く、対応が必要と判断した場合、対症療法や同剤の減量などを常に考慮すること。
バルプロ酸Naは、長期投与が多い薬剤です。定期的な血液検査で、高アンモニア血症の早期発見にこころがけましょう。同症の初期症状は、疲労感・傾眠・食欲不振などの意識障害。投与時の注意すべきサインです。
(民医連新聞 第1352号 2005年3月21日)
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