副作用モニター情報〈215〉 リピトールの重篤な副作用
リピトールによると思われる、肝機能障害、血糖値上昇等グレード2の副作用が報告されています。使用の増加に伴い、重篤例の出現など注意が必要で す。承認時データでは、肝機能障害は1割程度報告されています。肝臓に強力に作用する薬剤であり、定期的に肝機能をフォローする必要があります。血糖上昇 も頻度の高い(5%)副作用の1つです。AHA(アメリカ心臓学会)でも11月に、高用量アトルバスタチン群(80mg/日※)で血糖コントロールが悪化 すると報告(PROVE-ITサブ解析)しました。
動脈硬化性疾患治療ガイドラインによると、糖尿病患者の脂質管理目標はTC200mg/dl、LDL-C120mg/dl以下であり、コレステロール低 下作用の強力なリピトールが多く選択されることが予想されます。血糖値上昇・糖尿病悪化には今後十分注意していく必要があります。
【肝障害例】
症例1は併用薬なし、症例2は糖尿病でグリミクロン服用中でした。2例とも中止後約2週間でほぼ正常値に回復しています。
開始前 | 1カ月 | 中止時 | 2~3週後 | 2カ月後 | ||
症例1(5mg*3カ月) 53歳女性 |
AST |
22
|
51
|
107
|
47
|
以後中断 |
ALT |
16
|
57
|
196
|
97
|
|
|
症例2(10mg*4カ月) 78歳女性 |
AST |
19
|
131
|
131
|
39
|
34
|
ALT |
15
|
187
|
187
|
50
|
40
|
【糖尿病悪化例:67歳女性、高脂血症、脂肪肝】
健康診断で血糖値が高めと指摘され、BS=140、HbA1c=7.2で栄養指導を受けていました。プラバスタチンからリピトール10mgに変更となっ た1カ月後から、BS値の上昇がみられ、5カ月後に薬局から「リピトールによる可能性あり」と疑義照会したが継続、翌月受診時には頭痛が出現し、自己中止 していた例です。中止1カ月後にはすみやかに改善がみられました。
開始前 | 開始時 | 1カ月後 | 5カ月後 | 中止1カ月後 | 中止3カ月後 | |
BS(mg/dl) |
140
|
174
|
223
|
169
|
118
|
130
|
HbA1c(%) |
7.2
|
7.4
|
7.6
|
9.0
|
7.8
|
6.9
|
※国内承認用量は、家族性高コレステロール血症の重症例で40mgまで
(民医連新聞 第1348号 2005年1月17日)
- 記事関連ワード
- 副作用副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)