副作用モニター情報〈214〉 バンコマイシンによる聴力障害
バンコマイシンの副作用が報告されました。
(症例)86歳女性…他の抗性物質製剤を投与したが、発熱・WBCが改善せず、MRSAを疑い、バンコマイシン0.5g×2を5日間、その後0.5g×4で14日間投与。投与15日目に聴力障害を認め、副作用を疑い投与中止。が、難聴は1週間後も改善せず。
ペプチド系・アミノグリコシド系抗生剤の投与上の注意には「難聴」が繰り返し記載されています。非可逆的な障害になることがあり、要注意です。また、適応患者の選択~小児・高齢者・腎機能障害患者~や血中濃度のモニタリングも重要です。
バンコマイシンの血中濃度で望ましいのは、最高25~40μg/ml、最低(谷間値・次回投与直前値)は10μg/mlを超えないことです。点滴終了後 1~2時間の血中濃度が60~80μg/ml以上、最低血中濃度30μg/ml以上が続くと、聴覚障害や腎障害など副作用の恐れがあります。
これら副作用の発現と血中濃度の相関性が高いため、投与量を増やす際、血中濃度の最高値と最低値を確認すれば、防止策がとれます。また、高齢者のバンコ マイシンの半減期は、成人の3倍以上。1日の投与量が同じなら、投与間隔をあけて最低血中濃度を下げることが必要です。
最近は投与量のモノグラムやTDMソフトなどもインターネット上で入手できます。クレアチニン値・体重などから血中濃度の推測も可能。これらを投与計画に役立て、副作用防止につとめましょう。
(民医連新聞 第1346号 2004年12月20日)
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