副作用モニター情報〈212〉 タリビッドおよびクラビット投与時の投与量チェック
(症例1)80歳女性。肺炎でタリビッド錠1錠×2/日開始。翌日から「私、何をしに来たのかわからない」「耳元でキャンキャン言っている」「夜に蛾みたいのが襲ってきて口の中に入ろうとしている」と幻覚・幻聴が出現。2日間服用し中止となった。
(症例2)70歳女性。透析患者。クラビット100㎎1錠を服用、服用2日目にせん妄が生じ、7日目にさらに強くなり中止。中止後4日で回復。
投与腎機能低下時に生ずるニューキノロン系薬の副作用は、腎機能悪化、低血糖、複視、中枢神経症状(めまい、ふらつき、けいれん)など。
今回の症例は、高齢かつ腎機能低下があり、服用早期に精神神経症状が現れました。両剤とも70~90%が未変化体のまま腎臓から排出されるため、腎機能 低下時には、生物学的半減期が延長、尿中排泄速度が減少します。また、透析患者にクラビットを投与する場合、蓄積性が問題なので100㎎/日の4日間の短 期投与、その後継続が必要なら隔日投与する方法があります。
腎機能低下により、副作用発生頻度が高まることが予測される薬剤では、クリアランスを予測し、腎機能に応じた用量確認で事前に副作用を回避することが重要です。直接クレアチニン値が判らない場合も、そのリスクを有する高齢者や透析患者等には、投与量の適切性をそのつど確認する必要があります。
(民医連新聞 第1344号 2004年11月15日)
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